Story
「魔女」――
魔獣や魔術が失われた大陸で唯一残った未知の存在。
古より恐れられし存在を討伐に向かった傭兵のジグ。
彼は激闘の末、辛くも勝利したが同時に魔女を殺す目的を失ってしまった。とどめを刺さずに去ろうとする彼の背に魔女が依頼を申し込む。
誰にも追われずに生きたいという願い。傭兵は葛藤の後その依頼を受けることにした。
魔女に対する忌避の強いこの大陸では難しいと感じた彼は、以前から存在は知られていたが近年ようやく渡航の目途が立った異大陸に渡ることを決意する。
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「魔女」――
魔獣や魔術が失われた大陸で唯一残った未知の存在。
古より恐れられし存在を討伐に向かった傭兵のジグ。
彼は激闘の末、辛くも勝利したが同時に魔女を殺す目的を失ってしまった。とどめを刺さずに去ろうとする彼の背に魔女が依頼を申し込む。
誰にも追われずに生きたいという願い。傭兵は葛藤の後その依頼を受けることにした。
魔女に対する忌避の強いこの大陸では難しいと感じた彼は、以前から存在は知られていたが近年ようやく渡航の目途が立った異大陸に渡ることを決意する。
土魔術を得意とし、地の杭や岩槍などを主体に戦闘を行う。沈黙の魔女と呼ばれ恐れられていた。追われる日々に疲れ、ジグに護衛を依頼する。
灰色髪と屈強な体格が特徴の凄腕の傭兵。魔力に指向性を与える際に発生する匂いを嗅ぎ取れる。滅多にいない双刃剣の使い手。
【白雷姫】の異名を持つ二等級冒険者。移民を母体とする移民組織『ジィンスゥ・ヤ』の幹部でもあり、刀を使った高い戦闘能力を誇る。
将来を期待される四等級冒険者で魔剣士。状況判断能力に長けたパーティーのリーダーで、その優秀さはジグも認めるほど。
目を覆う眼帯が特徴の冒険者。アランに依頼されジグへの接触を行う。実は手練れの術師で、三等級という冒険者の上位層。
お伽噺の魔術や、伝承にしか残らない魔獣などの神秘が未だ生き残る地。そこでは魔力を宿した生物が跋扈《ばっこ》しており、人間も例外ではない。
魔獣や魔術といった神秘の存在しない現大陸で唯一残った恐怖の対象。その怒りに触れた者は例外なく排除され、その暴威は周辺にも及ぶ。数が少ないためお伽噺の存在と信じぬ者もいる。人と同じ姿、言葉を話し、意思疎通もできるが人間とは全く別の生物。その生態は謎に包まれている。
戦乱の絶えない現大陸で直接利害関係のない国に金で雇われる兵。金次第で裏切るならず者と思われがちだが、信用と契約を重んじる“理性ある獣”。ただし理性はあろうとも獣は獣なのでそこを勘違いしてはいけない。異大陸では戦争がない(起こせない)ために傭兵の質が非常に低く、ほとんどゴロツキ同然という認識。
とりわけ潮の流れが荒く、水深の深い海のことを指してそう呼ぶ。深い海には巨大な魔獣が生息しており、その領域を侵した者を悉《ことごと》く沈めてきた。知能と魔術で生息域を拡大した人間をもってしても、未知の領域である。
体内に流れる魔力を練り上げ、様々な形で顕現させる技法。魔獣が生まれ持った本能で行使するのとは違い、人間は知能でもってその技を増やす。それが個体差で劣る人が生息域を拡大できた所以。本来持つ属性以外を扱うことは難しく、無理に使用しても威力・効率共に大きく下がる。
魔力を宿した強き獣の総称。正確には魔蟲や魔鳥など詳細に分類されるようだが、ひっくるめて魔獣と呼ばれる。頑丈な体は人にとっての脅威であると同時に、有益な資源でもある。異大陸の人々は繁殖力を活かした人海戦術でこれを打ち倒すことによって繁栄してきた。
魔獣を倒し、その資源を持ち帰ることを生業とする。人が抗うなど無謀と思われた魔獣相手に立ち向かう姿に敬意と呆れを表して、誰が呼んだか冒険者。先駆者に倣って自由を標榜しているが、その多くは自由のツケを払わされることとなる危険な職業。一から十の等級で区分けされており、数字が小さいほど等級が高い。
二十年ほど前に東からハリアンに流れ着いた移民。武力に秀でた集団であり、突如現れ当時バザルタファミリーの治めていた東区を乗っ取った。褐色の肌と笹穂状の長耳が特徴的。彼らの中でもさらに武に秀でた者は達人と呼ばれ、その実力は一騎当千。
バザルタ・ファミリーとカンタレラ・ファミリーによる二大マフィアが街の裏を仕切っている。その商売は賭博、娼館、薬物、密輸など多岐に渡る。両マフィアの協定として“人体に影響を及ぼすほど効果の強い薬は扱わない”というものがある。
魔具は魔術刻印を刻み込んだもので、魔力を流すだけで籠められた魔術が発動する。不得意な術でも安定して発動させられるので攻撃・防御手段としても使えるが、一般市民では手が出ないほどに高価。魔装具はそれ自体に魔力的な性質を持った素材を使っており、魔力を流して発動させる必要がない。魔術耐性を持った物や、魔力を分解する性質を持った物などがある。非常に有用だが、魔具以上に高価。
人間至上主義を教義とする宗教。人間以外の種族を人ならざる"亜人"と一括りにして、人間よりも下の存在と定義づけている。積極的に"亜人"を迫害するほどの信徒はそれほど多くないものの、多くの人が蔑称である"亜人"を抵抗なく使うほどに社会に浸透している。身体能力に優れる"亜人"との揉め事も多いため、信徒の子供に幼少から訓練を積ませた僧兵を育成している。
澄人教の僧兵の中でも、特に信仰心と戦闘力に優れたものに送られる称号。法を犯した"亜人"を、直接"赦す"ことを許されている。他勢力との揉め事全般に対応し、身体能力で勝る"亜人"を相手取ることも多いため、場数と経験が豊富。事、対人戦において、その強さは上位の冒険者たちすら凌駕しうる。
人間以外の種族に対する総称・蔑称。元は、数の多い人間が、彼らの区別をめんどくさがって付けた総称だったと思われるが、「人間より下の存在」と定義づける思想が蔓延し始め、現在は澄人教によってその思想が市民にまで浸透しつつある。